『玉名市まちなか未来プロジェクト賑わいのまちづくり地域交流活性化事業』-第3回目 by-F
この記事は、2023年12月16日~2024年2月23日にかけて玉名市が主催する
『玉名市まちなか未来プロジェクト賑わいのまちづくり地域交流活性化事業』の業務委託の活動の振り返りです。
本事業は、玉名まちなか(今回は主に駅周辺)の賑わいを創ろうという企画です。
賑わい創出のために、まず玉名について知るセミナー、次に玉名市外での賑わい創出事例、
そして空き家利活用など賑わい創出のための参考事例を5回に分けて行います。
第3回目(2024/1/26)は、玉名市内外の賑わい創出事例のセミナーが行いました。
今回は、前回に引き続きお隣の荒尾市で活動するのあそびlaboの中村さん、
玉名駅前を活動拠点とするエキマチ語ろうピクニックの中心的メンバーの弊社村田、
JR九州の園田さんのセミナーとなっています。
〇『のあそびlabo』中村さんのセミナー
・のあそびマルシェなどの駅前を拠点としたまちづくり活動を行っている。
・駅利活用の裏では万田地区協議会という地元の協議会がバックヤードで様々なサポートを行い、
活動の場を支えていただいている。
・活動の幅を広げるために、助成金を用いて物品などの初期投資を行いイベントの企画運営を行ったが、
助成金は活動の始めや終了時に分割で支払われず、成果発表後に全額支払われるため
助成金の仕組みに疑問を持った。
・荒尾駅での取り組みについては、何をもってイベントを行うか重要である。
荒尾では駅前の賑わいを取り戻す目的で活動しており、収益が目的ではない。
のあそびlabo(https://noasobilabo.com/)
のあそびlodge(https://noasobilodge.com/hotel/)
↑のあそびlaboでの活動を紹介する中村さん
〇玉名駅前を活動拠点とする『エキマチ語ろうピクニック』中心的メンバーの弊社村田のセミナー
・市の委託を受け、玉名の将来について高校生や大学生が考える事業が行われた。
その中で、駅の待合室の活用が挙げられ、木製の机と椅子を設計しワークショップを開き、
生徒と地元住民と共に、待合室への制作・設置を行った。
・『エキマチ語ろうピクニック』の起こりについて
・高校生と大学生、玉名市と村田建築設計事務所とJRが協力し、製作した様子を見ていた方や、
そのような活動に興味のある方が集まり、玉名駅周辺を語り合う会が結成された。
高校生や大学生などの活動がこの集まりの源流となっている。
・玉名駅前でクリスマスイベントを行うことになり、玉名市の協力もありながら開催をした。
・開催に際して「クリスマスという受験期間の中で一番つらい期間でも頑張る受験生を応援したい」という
参加者の大学生の提案があり、それに共感した地元参加者が協力して受験生に対して、
ホットチョコの無償提供であったり、クリスマスソングを地元のコーラス隊が合唱したりした。
・玉名市で様々なまちづくりに参加しているが、
どうしても「行政がするのが当たり前」という考えが色濃くある。
しかし、「それではまちは動かない」と考えている。
・市民の意識醸成や、そのためのイベントなども行い続けたらいいと語っている。
↑駅前での活動の発表を行う弊社代表
〇JR九州の園田氏のセミナー
・JR九州が行った取り組みや、コロナを機に変化した駅舎活用の内容で、
自治体との駅利活用の事例と、地域事業者との駅利活用の事例を紹介された。
□自治体との取り組み① ― 肥前浜駅の取り組みについて
・佐賀県鹿島市にある駅舎で、旧駅舎を利用し増築を行い、
ギャラリーや待合室、カフェなどを併設した駅舎となっている。
・現在は、地域住民の方たちの利用があるが、増築当初はなかなか厳しい状況も見られた。
しかし、地元のNPO法人である『肥前浜宿水とまちなみの会』が運営する
『HAMABAR』(浜バー)の方が駅のスペースを運営しており、
地酒の飲み比べができる酒の駅を目指し、地元住民自らスタッフとなっておもてなしをしている。
また、バーと併せてトイレ部分の運営も行ってもらっている。
・駅舎の改修が地域の観光に大きく貢献した一事例となっている。
肥前浜駅活用PJ(https://architecturephoto.net/138696/)
□自治体との取り組み② ― 日南駅の取り組みについて
・構想段階から、良品計画などが入り、ワークショップを通して、
地元住民へのヒアリングや何を作るとよりよくなるか等の開催を複数回行った。
・ワークショップを通して出た意見で、駅での待ち時間に勉強をしたい、
子育て世代からは、子供とくつろぐ空間が欲しいといった意見があり、
その意見を活用して改修を行っていくことになった。
・既存駅舎には、通信設備など簡単に動かすことのできない箇所があり、
残せるものは残してJRと駅利用者との導線を明確に分けることによる棲み分けを行った。
・駅舎は、JRが使用する部分以外は市に譲渡し、
残り部分を自治体で自由に使うというような仕組みを作った上で改修を行っている。
・現在、観光協会の方が管理委託で在駐され、
簡易的な切符販売や、学生がスペースを活用し勉強する様を見守っている。
・また、宮崎産の杉を利用した空間は心地よいといった意見や、
勉強や打ち合わせに使える大きなテーブル、Wi-Fi等の導入により駅の利用率が上がっている。
1月平均して300人程利用されているが、多い月では700人ほどの利用がある。
また、列車利用以外にも市民の学習の場や食事、休憩などの憩いの場になっている。
□地域事業者との取り組み① ― 霧島神宮前駅の取り組みについて
・九州ドリームステーションという取り組みを昨年度から行っている。
・コロナ禍で経営状況が厳しくなり、駅の半無人化を進めざるを得なくなったことによる
賑わいの減少対策として、地域事業者と連携して駅舎の賑わいに取り組んでいこうという目的がある。
・霧島神宮駅では、建築デザインを行われている株式会社IFOO(イフ―)と連携を結んだ。
同社の代表取締役の地元であり、霧島の活性化のために駅舎をリニューアルしたいという声をいただいた。
・2024年の3月22日にリニューアル完了予定としている。
・2024年度IFOOさんは駅舎だけではなく、イベント事業も今後実施していく。
周辺の地域も含めて地域の方と一緒にマチを作っていきたいという考えを持っている。
今後は駅だけではなく、駅舎の隣にある石蔵を購入され、
テナント運営を行い、新たな事業者を呼び込むなど駅だけにとどまらず、
駅をきっかけにマチが発展していく例になるのではないかと考えている。
九州ドリームステーション霧島神宮前駅(https://www.jrkyushu.co.jp/campaign/dreamstation/pdf/partner20240125.pdf)
□地域事業者との取り組み② ― 荒尾駅の取り組みについて
・鉄道の社員が駅をどう活用していくかという取り組みを2年前に始めた際に、
のあそびlaboの中村氏から荒尾駅を活用したいと声がかかった。
・当初は、何から始めればよいかわからなかったが、駅でモノが売れるかの調査を一緒に始めた。
・荒尾市は、空き家の利活用、人流の創出、
JR九州は、駅機能の維持、
のあそびlaboは、地域で持続可能な事業を継続していくという、
それぞれの目標がり、駅周辺に賑わいがあり事業ができるという部分においては共通認識があった。
その目標に向け、それぞれが1年間やれることをやったというところがあった。
しかし、今年度は3社が協力して開催できていったという実感がある。
・最初期に駅を活用する事を考えるのではなく、まず、その駅で何ができるかをみんなで考え、
駅前や駅周辺、また点在する空き家などを用いて、
今後何ができるか考えられる関係になった事はすごくありがたいことであった。
↑九州県内での駅利活用の発表を行う園田さん
玉名駅、荒尾駅の周辺を活動拠点とするそれぞれの話と、その2か所だけではなく、
九州で行われている活動事例を話していただきました。
中村さん、園田さん、参加してくださった皆様、誠にありがとうございました。
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