『空き家・空き店舗利活用プログラム』第5回目 -1 by F
2023年の3月26日に事業の第5回目として、旧服地のマツヤマ店舗跡にて前4回の振り返りを行った後、吉原氏によるセミナーと解体のワークショップを実施して頂きました。
第1回目の福岡での先進事例視察から始まり、第4回の今回のセミナー会場で行われた話まで、前4回にわたるセミナーの内容の振り返りが行われました。
どの回も内容が濃く、弊社村田も振り返りのプレゼン資料作成時に簡潔にまとめることが難しく、振り返りを行うだけで30分ほどのセミナー時間が必要でした。それだけ、この『空き家・空き店舗利活用プログラム』で積み重ねていったセミナーの内容は実用的であり無駄がない内容である事を再認識することが出来ました。

↑振り返りの様子。空き店舗に椅子や機材を持ち込んでセミナーを行っている。
振り返りの後、NPO法人福岡ビルストック研究会 理事長 吉原 勝己氏より、振り返りと京都の事例や九州で行われている動きについてセミナーがありました。
セミナー内容
はじめに
・吉原氏は、「次の世代につなげる」という事を念頭に不動産の再生を行っている。
しかし、これはお金稼ぎを否定しているのではなく、次の世代につなげるための資金運用は重要であるが、資金を目標に再生を行うのは目的を間違えている。そういった意味で、今回の空き家・空き店舗再生プログラムは、次の世代に繋げるための良いプログラムとなっており、市の歴史に残っても良いレベルの事が起こっていると話された。
京都で行われている活動の紹介
・京都大学の教授が主催する、『都住研』というまちづくりの任意団体がある。
観光で有名な京都だが、京町家を外国人が買い取って旅館にする等、マチが外国人のものに変化していき、日本の伝統的な文化が無くなるのではないかと危惧されている。
・都住研では京町家を守るため、様々な問題解決をできるように京都大学の教授・不動産・行政マン・士業の方など、町屋再生に必要な専門の方々が集まる。京町屋の再生と保存のために、資金面や、法律面等を話し合う団体となっている。
・京町屋の再生・保存のため、団体の中で資金を出し合い、とある路地に面する不動産を全て買い取る。
・再生する際の用途は、子育てを行う世帯のみを対象とした賃貸物件として、次の世代に物件を繋ぐ様に人とお金が回る物件に再生を果たしている。
九州での出来事
荒尾
・吉原氏が主催する九州DIYリノベWEEKにて、荒尾チームが驚くべき活動を行っていた。
九州DIYリノベWEEK ⇒右URLよりご参照ください (http://diyrweek.npo-fbs.com/ )
・のあそびloge(ロッジ)という荒尾駅近くの廃ビジネスホテルをDIYリノベーションによりホテルに再生た物件があり、再生を先導した西原クリニックの中村医院長先生が、医院長ながらまちづくりをしている。
・駅前のキーとなる物件を
「みんなで」「どの様に」「DIYリノベーションを取り入れ実施するか」
をされてきた。大牟田市の冨山氏が実践された様に、再生の様子が人の目に付き、「どこか楽しそう?」という雰囲気を外に伝えるために駅前での再生に着手された。
・DIYリノベーションをする際に、登山仲間にも参加してもらい、仲間の中で一室ずつ担当し、物件再生を行われ、プロが作るより手間のかかるデザイン性の高い部屋となっている。
・街の人が立ち寄り易い様に、1階はカフェになっている。カフェが開設したことで、雇用が生まれ、カフェの他にレンタルオフィスもあることで、若い活動家の仕事場になる場であり、これからの荒尾をより良くし、そのきっかけをこの建物が作っている。
・荒尾駅前の駐車場を使える権利を持っており、アウトドアイベントを開催した。その中で、焚き火を囲みながら、広げたシーツにセミナー資料を投影し勉強会を行った。
勉強会では、駅前活性化どうしていくか等を、荒尾駅・JR九州の方と荒尾市民とのセッションがあり、全国でも類を見ないことが起きていた。
・中村先生がマチのために1歩踏み出したことで、加速度的に街が変化している最中であり、中村先生がいたからこそ再生できたのだと解る。
・中村先生が荒尾駅周辺の活性化を行ったことで、JR大牟田(富山氏)⇒JR荒尾駅(中村先生)⇒JR玉名(村田氏)が繋がる未来が見えてきた。今後、このJRラインをつないで、行政区を超えての町の再生を図っていきたい。この活動は、行政区を超える事が出来る民間だからこそ出来る内容である。
・荒尾、ほかにも長崎で行われている戦後最古の鉄筋コンクリート造のマンションの再生プロジェクトや、糸島前原の商店街の再生が成功し、帝国ホテルで働いていた方の料理が味わえる等、美味しいお店が沢山あり、シャッター街が無くなってきている事例もありました。
感想 by F
「次の世代につなげる」という事を念頭に不動産の再生を行っているという吉原さんの考えが印象に残りました。次へ繋げるための再生内容も大切であるけど、それと同時に活動をつなげていくための資金も重要です。「人のためや地域のためという事を念頭に活動するなら利益なんて二の次」という考えがふんわりと私の中であったのですが、今回のセミナーを聞き、地域のために行う内容や活動がどんなに素晴らしくても、現実的に継続できなければ意味のないことで終わってしまうということを学べました。
吉原さんには、全5回のセミナーで毎回講師をお願いいたしました。なぜDIYリノベーションを始めたかという経緯や全国で行われている先進事例の紹介などを学ばせて頂きました。とても良い時間と学びを提供して頂きました。ありがとうございました。
Comentarios