伝統工法 と デザイン
工事中のお宅の様子をお伝えいたします。
以前も棟上と餅まきの様子をお伝えしましたが、着々と工事がすすんでいます。
このお宅は、純伝統工法で、足固めと言う工法で建てています。
下に写真の柱の足元部分はその特徴です。基礎立上りの上にのっていません、基礎の土間においてある感じです。
また、その柱に横材がささっていますが、これがもうひとつの特徴です。この横材を足固めといいます。
こうすると、柱の足元がつながります。かつ、下の写真のように、柱の上も梁でつなげますので、全体がつながって四角い箱のようになります。
かつ、基礎ベースの上においただけ(厳密には違いますが)なので、台の上に、マッチ箱(古いな、もう見ないな、分かる人わかってください)をポンとおいた感じです。なので、地震が来ても、地面のゆれと同調せずに、基礎の上をすべるイメージで建物としては、そのゆれを直接的に受けずに済みます。そうして、地震力を低減しています。
この構造は、いまでもお寺などでは見られますが、実際は法的な制限があり、どこでも簡単にはできません、しかし、とても理にかなった、すばらしい免震構造です。
日本の木造は1000年以上も前から培った技術があります。その一つ一つは、地域で培われたものです。文明開化後に西洋からもたらされたものとは違うバックグランドがあります。(筋交いをメインに使う構造は、
なんでもそうですが、何かを選択する場合、その根拠になっている歴史性と地域性に耳と目を傾けるべきだと思います。
特に建築は、目に見える部分が大きいので、芸術性を高めることはとっても大切なことであり、必須事項です。芸術性=革新的なデザインであることは疑いのないことですが、今までの質の高いというわれる革新的なデザインも歴史に裏づけされいます。
たとえば、ロマネスクからゴシックへ移り形態デザインでフライングバットレスが生まれますが、これは教会等の室内空間を明るく・高く・広く取るためのものでした。そこには、迫害を受けてきたキリスト教が広く世の中に広まることと平衡しています。
形態はその地域・世相・歴史から生み出されるものであって、どこかから借り受けたものではありません、その地域と人と歴史から生み出されるものだと思います。
そう考えると、話題の新国立競技場はどうでしょうか?ザハさんのが良かったか、隈さん、それとも我が熊本アートポリスコミッショナー伊藤さんのがよかったか?いろんな好みもありますが、いろんな視点もあるもんです。
すこしウンチクが長くなりました、すみません。
工事はどんどん進んでいきますが、そんなことを考えた、今年でした。
みなさま、いろいろお世話になりました。ありがとうございました。
新年は変わらずよろしくお願いいたします。